<住むこと>とは?⑤
「住む」といえば、〈家に住むこと〉を指すのが一般的ですが、一日二四時間の内訳をみると、家に居る時間をのぞくとその場所は主に勤務先であり、また通勤途中や休日に利用する店舗などの商業施設や公共施設などであり、さらに人が利用できる自然環境の中ということになり、〈住むこと〉を家に居る時間と家という空間で区切るより、家の内と外のつながりの間係のなかで考えることのほうが日常生活に近いことに気づかされるのではないでしょうか。
言い換えると、私たちは個人で過ごす時間、家族で過ごす時間、家族以外の人たちと過ごす時間の中で「住む」時間を過ごしていることになり、いわば、「私」・「共」・「公」の三つの入れ子の容器を使い分けながら暮らしているのが、〈住むこと〉といえるのではないでしょうか。
と同時に、「コミュニティ」とよばれる地域社会には家族を含めた「私」以外の「共・公」の場所として、家とのつながりを持ちながらも質を異にする空間と時間が備わっていることを想像できるとおもいます。
さて、ここに紹介する「コミュニティを問い直す」の著者、広井良典さんは、「コミュニティ」を「内と外」という視点からその歴史と社会構造の変遷を日本と諸外国を比較しながら解き明かし、日本の近未来に求められるコミュニティ像の仮説を提示しています。以下、広井さんの着眼点と着想を本書の図版のいくつかからご紹介します。
◆日本社会の現況
―「農村から都市への人口大移動」のなかでうまれた〈「都市の中のムラ社会」ともいうべきカイシャ(会社)と(核)家族という閉鎖性の強いコミュニティ〉―
◆社会的孤立度の高い日本
◆地域への土着性が求められる
これからの日本の人口構造
◆定常化社会の到来・ 社会資本の変遷
・ 日本社会の現状
―「市場原理」に席巻されている居住環境と立ち遅れた社会政策が窺える(注)宮坂)―
・人類史に見る定常化
◆これからの社会像
―従来の「市場」に代って、個人のつながりが「通路」のように整った地域社会に変われば、個人が負担する社会福祉費用の費用対効果が高まる社会が生まれる可能性がある。(宮坂の読後感)―
* * * * * *
ところで、このブログを書きかけた七月の下旬に百歳を越える高齢者の所在が分からなくなるという事件が起きました。まさに地域社会構造の劣化をおもわせる事件で、その推移を追っていくうちに、今年の夏の暑さも手伝ってブログを書く手がとまりました。NHKTVには、「無縁社会」をテーマにした番組も現われるようになり、現代の日本社会の病巣の深さを考えざるを得ません。
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